CSVサーベイランスネットワークスペシャルレポート2013

Justin Bakule × 赤池 学 × 水上 武彦
スペシャル対談「ニッポンのCSVのこれから」

2013年7月17日、今回のシンポジウムのために来日したFSGのShared Value Initiative Executive Directorのジャスティン氏と赤池座長、水上顧問の3名によるプライベートトークを開催しました。 シンポジウムを2日後に控え、当ネットワークに向けたスペシャルなメッセージを頂戴しています。

赤池)

CSVサーベイランスネットワークは、CSVによる社会 課題の解決というコンセプトに興味・関心の高い企業が集 まって2012年に設立し、12社の会員企業とともに活動してきました。年間では、3回の東京でのセッション、青森、 富山、北九州のCSV先進地域の現場訪問をしました。

そしてそれらの成果を「CSV経営」という書籍にまとめて出版し、今回Justinさんを招いてのオープンシンポジウムの開催、と着実に歩みを進めてきています。

2013年度は、事例を収集・研究し、企業のネットワークを 広げるとともに、さらに一歩進んで、実際にCSVビジネ スを創造していこう、というのが今年の大きなテーマになっています。

たぶん、これだけ本格的にCSVの研究・実践を目指して活動しているユニットは日本国内では唯一だろうと自負しています。

Justin)

素晴らしいですね。恐らく、CSVの取組みを研究し、実践していくことを目的として企業が連携してネットワークを作っている事例は、世界中にも例はなく、もしかしたら、世界で唯一の存在かも知れないです。

FSGとしても今世界中のCSVのベストプラクティスを収集しているところであり、今回のシンポジウムで来日し、このネットワークの活動内容を知ることが出来たのはとても有意義ですし、今回知ることが出来た日本の事例もたくさんエントリーしたいと思います。

赤池)

アメリカや海外でのCSVビジネスの実情はどのような感じですか?

Justin)

私は、FSGという立場で、色々な地域でのCSV展開の支援を行っていますが、それらのプロジェクトを企画し、主導するのは特定の企業で、私達は、その施策の実施にあたって、施策を展開する地域のNGOやNPOとの間に協力関係を築き、取組みを具体化していく、という形が大多数です。

ただ、最近は、NPOも企業もCSVというコンセプトを理解し始めたので、NPO側が主導して、企業に社会課題の解決にCSVのフレームで取り組もうということを働きかけをする、というケースも増えてきているような気がします。

CSVコンセプトの普及に伴う変化は、企業の中にも起こっていて、当初CSR部門などが中心だったそうした施策展開の主導役が、マーケティング部門や実ビジネスを担う部門の方々が関与するようになって来ました。そのことによって、より活動的になってきたように思います。

水上)

CSVのフレームを使って、どのようなイニシアチブが求められていると感じていますか?環境に関わる問題は1つ全世界的なものとしてあると思いますが、例えば日本では高齢化や人口減少などの問題が大きな社会課題となっていて、そこに向けた取組みが求められています。

Justin)

CSVの手法は、様々な社会課題を解決する力を持っています。社会課題は、それぞれの国や地域によって異なっていますから、まず、その課題について、現地・現場に入り実態を知ることからスタートすることが重要です。

私が主にサポートしているイニシアチブとしては、先進国で消費される食物・原材料などの原産国における生産者の貧困や衛生、教育の問題などが多いですね。

水上)

我々とともに活動している会員企業は、どちらかというとドメスティックな企業が多いのですが、そうした企業のCSV活動はどうですか?

Justin)

米国などでCSVを展開する企業は、今のところグローバル企業が中心で、彼らのバリューチェーンに組み込まれている原料生産者の課題を解決するという形が多いですね。

でも、そこまでスケールの大きな企業でなくても、実施可能だと思います。特に、「製品・サービスによるCSV」のカテゴリーでの実施は小さな企業でも展開できる可能性があると思いますね。

赤池)

私達は、CSVによる社会課題の解決を進めるにあたって、政府や地方自治体も巻き込んでのムーブメントを目指しているが、米国では、政府や地方自治体などがCSVをサポートすることはありますか?

Justin)

米国ではそのような動きはないですね。むしろ政府や自治体政府が解決できないので、企業の力を頼りにしている、という感じだと思います。もちろんあったほうがいいと思いますし、日本においてそのような事例が出来るのであれば素晴らしいと思います。

赤池)

お話をしていて、日本と米国では、社会課題の設定の仕方、政府や自治体との関わり方、そして企業の活動フィールドなどの違いがあって、CSVコンセプトによるビジネスのあり方についても、それぞれが独自の発展を遂げそうな気がします。

そういう意味では、我々は日本でのCSV展開は、こんな形になってきている、というものを作り上げて、それを世界で共有していくことができれば、さらにCSVの価値を高めることが出来そうですね。

Justin)

素晴らしいですね。ポーター教授も日本企業の動向にはとても関心が高く、今回の私の訪日にあたっても、帰国後にしっかりとレポートするように指示されています。

確かに、それぞれの地域に、それぞれの文化や習慣があり、そのフィールドに適した形にならなければ社会の課題も解決されていかないわけですからね。

日本におけるCSVの発展を是非、みなさんがリードしていただき、FSGとも情報共有していければと思います。

赤池)

では、来年、ボストンのポーター教授に、レポートを届けに行きますよ(笑)。

Justin)

ええ、ボストンで再会しましょう!